【翻訳家になるには】英語の主語の訳出

【翻訳家になるには】英語の主語の訳出

こんにちは!ニューヨークシティよりMihokoがお届けです。

 

日本語の勉強を兼ね、日本語で漫画やネットニュースを読んでいる我が家族。

わからない漢字が登場すると「なんて読むの?」と聞かれることが多いのですが、先日は興味深い質問を受けました。

 

スポーツ記事を読んでいた時のこと。

「ねぇ、ママ、これ変じゃない?」

「どれ、どれ?」と覗き込むと、とあるスポーツ選手について語った文で、主語が 「スペイン人は」となっていました。

その主語が変じゃないか?と聞くのです。

 

「スペイン人は」とすると、スペインの人全員を指す意味合いになりますよね。

ここでは選手個人のことについてなので、意味が変わってしまい確かに変です。

原文の英語表現が何か、大体想像つく方もいらっしゃると思いますが、調べたところThe Spaniardでした。

 

日本語としての不自然さ

この和訳ミス、まずは定冠詞のニュアンスが抜け落ちていたことです。

そして次に、英語という言語の特徴を訳者が捉えていなかったこと。(自動翻訳機かな?)

 

定冠詞の意味を訳に反映し、「このスペイン人」と特定の人物を指す表現にすれば、少なくとも誰を指しているかの誤解は訳文に生じなかったはず。

でも、「このスペイン人」では訳文としては完成度が低いです。

というのも、日本語として不自然だからです。

 

このような英文を、例えば 「このスペイン人選手」のように訳してある訳文も見かけますが、個人的にはこれでも日本語として不自然だと思うんです。

だってこんな場合、日本語では選手個人の名前を具体的に使いますから。

 

同じ表現を使わない工夫

この The Spaniardが伝えたかったことは何か?を考えると、やはりこの記事で話題になっている 「選手」のことです。

この選手がスペイン人であることを伝えたかったというよりは、英語の特異性として、繰り返し同じ表現を使わない工夫をしたため、The Spaniardとしたはずです。

 

同じ記事の中にこの選手を指す名詞表現が他にもいくつもありました。

選手個人のフルネーム、ニックネーム(イニシャル)、所属するチーム名とポジション、選手の年齢。

このような工夫は、特に記事のような文章スタイルに多くみられます。

 

これらの表現が個人を指す名詞として使われるとき、それは読んでいる人も知っている前提という書き方です。

それだからこそ、上にあげた表現には「定冠詞」「this」など、「名詞の意味を特定する」書き方をされています。

そして例えば、この人物の出身国を1つの情報として伝えたいという文であれば、

Born and raised in Madrid and played basketball for the Spanish youth team, XXX was selected by New York Apples in the 2018 NBA draft.

のように書かれるはずです。

 

翻訳は、2つの言語の特徴を捉えて、この文で何を伝えようとしているのか?を考えることが大事だなと実感したのでした。

 


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ABOUTこの記事をかいた人

日本の大学で英語、ロシア語、ラテン語を学びながらフラワーデザイン学校に通いフラワーデザインを習得。翻訳も通信で勉強するがもの足りずニューヨーク・シティに移住。市内の大学で英語を学び直し、フラワーデザイナーとなる。同時に、翻訳や通訳に従事し、日本語や英語の家庭教師を務める。 翻訳実績:主に音楽関係の記事やCDのライナーノート、ブログ記事、履歴書のプロフィール、ビジネスレターなど通訳実績:取材、現地学校における諸行事、プライベートレッスンの場など 息抜きには土いじり、ルービックキューブ、星や月を眺めながらの一杯。クラシックバレエ用ストレッチとヨガを自己流でアレンジした整体をしたり、一指禅、日記を書くことが日課。好きなスポーツはサッカー、バスケットボール、水泳。ジャンルを問わず日々の生活に音楽は欠かせない。