【翻訳家の暮らし】NYCのジャズクラブで育児?!

こんにちは!ニューヨークシティよりMihokoがお届けです。

突然ですが、その場を共有している人たちの気持ちを大事にするって忘れてはいけないなぁと反省することが多々あります。
子供がまだ幼い頃、それをどうやって上手く説明するか困ったことがありました。

 

友人のライブで娘が突然!

夫が音楽関係の仕事をしているので、ジャズクラブへよく出かけます。
妊娠中も大きなお腹を抱えて、子供が生まれてからも小さな子供を連れて。
アメリカのジャズクラブはお店の方針にもよりますが、他のお客さんに迷惑がかからない限り子供の入店も許してくれるところがあります。
お腹の中にいる時からいろんな音楽を聴いていたうちの子供たち…。
ライブハウスに連れて行ってもご機嫌で大人しくしていて、決してぐずったりしなかったので、調子に乗って子連れで出入りしているんですよね(苦笑)

その夜は友人のバンドのライブ。
子連れということもあり、ジャズクラブの一番後ろ、端っこのテーブルを選びました。
キッチンへのドアにも近く、テーブルの横にはちょっとしたスペースがあるような場所です。
とある曲の演奏が始まった時、うちの子の顔がパッと明るくなりました。
その曲は、そのバンドのレコーディングの際にスタジオへ遊びに行った時、うちの子も聴いている曲だったんです。
そして、さっと席を立った娘が、テーブル横のスペースで踊り始めてしまったんです!
“No…”といいかけた私を制する夫…。

いや、これってやっぱり周りにご迷惑なんじゃ〜と、ハラハラする私でしたが、通りかかったジャズクラブの店員さんも周りのテーブルのお客さんたちも、なんと寛大!笑顔で見守ってくれています。

“We have a cute little dancer here!”
友人であるバンド・リーダーが目ざとく見つけてマイクで紹介したものだから、うちの子は踊りながら通路をステージの方へ移動していく始末…(ひゃ〜!これって大丈夫なの〜?!)

ああ、これはお叱りを受けるに違いない…と覚悟した私でしたが、一曲踊り通した子供に拍手喝采の粋な対応をしてくださったお客さんたちと、バンドメンバー。
夫は全然気にしていない様子なのですが、私は一人で冷や汗ダクダク、心臓バクバク!

“You guys are doing a great job as parents.”
隣の席に座っている中年のカップルからも、こんなお言葉をかけていただき…

いやでも、観客として大人しく座って鑑賞するということの大事さも伝えないと!とも感じ、さあ、どう説明しようか?で困りました。

 

思いを伝える難しさ

子供を引き取りにステージの方へ歩きながら考え、言葉を探しながら腕に抱えた我が子に伝えたこと。
(家庭内では日本語学習のため英語禁止にしていますが、外では周りが理解できない言語で会話するのは閉鎖的なので、なるべく英語を使います)

“Hey, I loved your dance! Everyone seemed to love it too, but they’re here to listen to XXX’s(友人の名前)music, you know, so there might be someone who wants to enjoy his performance. So let’s sit at our table and listen to his music.”

ああ、こんな伝え方で良かったんだろうか?
後から他にもっとうまい言い方がなかったものか、何度も思い返した言葉たちです。

「これを伝えたい!」というテーマが明確にあっても、それをうまく伝える言葉を探すって難しいですよね。
翻訳は、「伝えたいことをうまく伝えるための言葉探し」が主な作業のひとつ。
原文から「何を伝えるための文章なのか?」を解釈するのと同じくらい大事です。
翻訳というと、『外国語のスキル』が何より大事!というイメージを持たれる方が多いのではないかと思いますが、母国語のスキルやセンスもこれまた本当に重要。
そして、英語であれ日本語であれ、「これぞピッタリ!」という言葉探しが上手くできる人に向いている職業です。

あなたが先ほどの私の立場だったら、どんな言葉を選びますか?

 

 


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翻訳家のたまご

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ABOUTこの記事をかいた人

日本の大学で英語、ロシア語、ラテン語を学びながらフラワーデザイン学校に通いフラワーデザインを習得。翻訳も通信で勉強するがもの足りずニューヨーク・シティに移住。市内の大学で英語を学び直し、フラワーデザイナーとなる。同時に、翻訳や通訳に従事し、日本語や英語の家庭教師を務める。 翻訳実績:主に音楽関係の記事やCDのライナーノート、ブログ記事、履歴書のプロフィール、ビジネスレターなど通訳実績:取材、現地学校における諸行事、プライベートレッスンの場など 息抜きには土いじり、ルービックキューブ、星や月を眺めながらの一杯。クラシックバレエ用ストレッチとヨガを自己流でアレンジした整体をしたり、一指禅、日記を書くことが日課。好きなスポーツはサッカー、バスケットボール、水泳。ジャンルを問わず日々の生活に音楽は欠かせない。