【翻訳家と悪口】「あばずれ」じゃないんじゃない?

英日・日英翻訳講座のRoberto先生の記事。悪口について。

今日はちょっと大人の話をしようと思います...それは「悪口」。

悪口(罵倒・悪態)ほど国民性を示すものはないかもしれません。
それぞれの言語が持っている最も面白くて興味深い部分です。

一生懸命勉強して覚えた英単語や表現はすぐに忘れてしまうのに、ちょっと映画で耳にした悪口は、すぐに覚えてしまい、しかもよく聞き取れる。ありますよね?!

今日のブログはそんな悪口の翻訳について考えていきましょう。

 

悪口の分類は世界共通!?

面白い現象ですが、おそらく多くの文化や言語において、悪口は決められたパターンやテーマをフォローしています。その中でもメインなテーマを挙げてみましょう。
ほんのちょっと下品ですから、気持ちの準備をお願いします!

  • 「くそ」のテーマ:Shit! や Piece of shit など。
  • 「母親/息子」のテーマ:Son of a bitch など。
  • 「セックス」のテーマ:Fuck off など。
  • 「お尻」のテーマ:My ass や ass hole など。
  • 「暴力をセックスに例える」のテーマ:I will fuck you up など。

なぜ、これらは様々な言語において同じ、もしくは似ているのでしょう。とても不思議でたまりません。Slang や「悪口」という文化的な現象から、私たち人間の一つの共通点が見えてくるのかもしれない。意外に深いですね。

 

悪口の豊かな言語 vs. 乏しい言語

私の母国語であるイタリア語を含むラテン系の言語は、悪口のバリエーションが多く、「悪口の豊かな国」と言えるでしょう。ラテン系の言語に並んで、英語も悪口が多い言語だと思います。

その一方、日本語は悪口のバリエーションが乏しいですよね。
悪口の中でも、最大の侮辱に繋がる「母親」のテーマで思い浮かぶ悪口を妻に聞きましたが、「おまえのかあちゃん出ベソ」ぐらいしか思い浮かばないと言われました。
確かに侮辱だけれど...英語の「母親」系悪口との差がありすぎますね。

また、日本語では、実際に使われていない悪口表現も結構あります。
その代表的な例は、bitch の本来の訳である「あばずれ」。
若い人たちであれば、 bitch はカタカナの「ビッチ」で通じるかもしれませんが、常にそう訳すわけにはいかないでしょう。
しかし、「あばずれ」と訳すのもどうだろう。

bitchの訳として、一般的に広く使われている日本語を持ってくるとしたら、「このやろう」が候補にあがると思います。
「野郎」といってはいますが、「このやろう」は男女両方に対して使われますよね。
bitch も女性に対してだけ使われるわけではないので、適切な訳と言えると思います。

ただ、「このやろう」では bitch というキレの良い音の感じが出せていないから、「クソが!」とかがいい?でもこれだとニュアンス的に bitch っぽくないよね。

日本語の悪口を英語に訳す際は選択肢がたくさんあります。
しかし、その逆は本当に大変。文章の中に組み込まれた悪口であれば多少訳しやすいとはいえ、ここは英日翻訳家の腕の見せ所でもあります。

 

 


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ABOUTこの記事をかいた人

イタリア在住。3言語の通訳・翻訳家。最近は特に、十数年住んだ日本が懐かしくてたまりません。