【翻訳家の暮らし】I’m sorry のパワー

翻訳者を目指す方のための本格的翻訳講座 講師Mihoko先生の記事。I'm sorryのパワー、恐るべし

こんにちは!ニューヨークシティよりMihokoがお届けです。

日本語だと、深い意味もなく「すみません」「ごめんなさい」を使いますよね。
これは英語で言うところの “Excuse me.” ですが、日本の感覚での謝罪の意味の「すみません」「ごめんなさい」って、英語圏の感覚よりも頻繁に使うなと感じます。

 

パートナーの条件は「自分と向き合ってくれる人」

ある時アメリカ人の友達が、「パートナーの条件」として、“Someone who says, ‘I’m sorry.’ “と言ったことがあります。
もちろん半分以上冗談ですが、強気な彼女はこう言いました。
“When we argue, for example, I’m always right, so I need to hear ‘I’m sorry.’ “
この言葉って実は深くて、彼女が言いたいのは、someone who blames meでもなく、someone who walks awayでもなく、自分と向き合ってくれる人という意味なんじゃないかと思ったりしました。(彼女自身も、相手のせいにするだけじゃなく、そっぽを向くとかでもなく、ちゃんと相手に向き合うという意思の表れ)

というのも、”I’m sorry.”って、英語では「自分の非を認める」という、かなり重い言葉です。

非を認めて謝ったあとに責任をとるという行為がついてくるので、「とりあえず謝って丸く収めよう」という軽い気持ちでは使わない言葉で、自分の責任範疇でないことに関してむやみに謝らないという認識があります。

 

看護師からの“I’m sorry.”に目の前が真っ暗

“I’m sorry.” には、謝罪の意味とは別に、「起こったことに対してとても残念に思う」という感情表現に使われる場合もありますよね。
この “I’m sorry.”は、「好ましくない状態」について使われるのがポイントです。

こちらの “I’m sorry.”を言われて、絶望で目の前が一瞬真っ暗になった経験があります。

息子が1歳の誕生日を迎えてすぐの頃。
いつものように忙しい朝を迎えていて、夫が息子に朝ごはんを食べさせてくれていて、私はキッチンにいました。
ドスっと鈍い音がした後に、耳を貫くような聞いたこともない鋭い鳴き声!
びっくりして食卓に駆けつけると、ハイチェアに座っているはずの息子が床に転がっていました。
茫然自失状態で固まっている夫いわく、ハイチェアに立ち上って踊りながら食べていたんだけど、機嫌よく楽しそうにしていたのでそのままで食べさせていたとか。
誤って椅子から落ちたんですね。
夫は出勤時間になったので家を出ましたが、しばらく様子を見ても痛そうにしているので、息子を救急病院へ連れて行くことにしました。

救急処置室で状況を説明し、診察室へ。
全身のレントゲンを撮ってもらいました。
レントゲンの結果が出るのを待つ時間の長いこと!最悪の事態ばかりが頭の中に浮かびます。
『もし、大事な骨が折れていたら…』
『もし、神経を損傷して後遺症でも残ったら…』
泣き疲れて眠る息子を抱いていると、看護師がやってきてこう言いました。

I’m so sorry Mommy, but…

『“I’m so sorry” ということは、最悪の事態だ! これは脊髄でも損傷したとか、頭を打っているとか、重大な怪我に違いない!』
そういう思いが一瞬で目の前を真っ暗にしました。そして、続く言葉はこうでした。

“… he broke his collar bone. The doctor will talk to you.”

診察室で見せられたレントゲン写真には、への字に折れた鎖骨が。
担当医によると、鎖骨の骨折以外に異常はなく、鎖骨はどこの骨とも繋がっていないし、ギブスの必要もなし。
放置しておけば乳幼児なら2か月で綺麗に治るとのこと。

“Will he have any long term effects or after effects of the injury?”
“No. His collar bone should be good as new in two months.”

この言葉を聞いてやっと深呼吸できた感じでした。

ああ、”I’m sorry.”のパワー、恐るべし!(涙)

 

これには後日談が。
痛み止めを飲みたがらず、病院でもらったアームホルダーもすぐにポイっとしてしまう息子。
翌日には機嫌も戻り、子供部屋で遊ばせていると二段ベッドの梯子からぶら下がっているではないですか!
びっくりして床に降ろし、主治医へ電話!すると、

“He knows if it hurts. But it’s so good to know he’s that active. Don’t worry. He can take care of himself!”

 

 


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ABOUTこの記事をかいた人

日本の大学で英語、ロシア語、ラテン語を学びながらフラワーデザイン学校に通いフラワーデザインを習得。翻訳も通信で勉強するがもの足りずニューヨーク・シティに移住。市内の大学で英語を学び直し、フラワーデザイナーとなる。同時に、翻訳や通訳に従事し、日本語や英語の家庭教師を務める。 翻訳実績:主に音楽関係の記事やCDのライナーノート、ブログ記事、履歴書のプロフィール、ビジネスレターなど通訳実績:取材、現地学校における諸行事、プライベートレッスンの場など 息抜きには土いじり、ルービックキューブ、星や月を眺めながらの一杯。クラシックバレエ用ストレッチとヨガを自己流でアレンジした整体をしたり、一指禅、日記を書くことが日課。好きなスポーツはサッカー、バスケットボール、水泳。ジャンルを問わず日々の生活に音楽は欠かせない。