【翻訳 ブックレビュー】神経科医が出会う脳の不思議『The Man Who Mistook His Wife for a Hat』

Book Review Mihoko 今回はサイエンス本を

こんにちは、Mihokoです。

今日は少しジャンルを変えて、アカデミックな分野の本を紹介させてください。

サイエンスって、なんとも不思議じゃないですか?
「そういう法則なんです」と言われても、「どうして?」を考えてしまって(笑)。
また、法則性が理解できないとメカニズムもわからず、問題が生じた場合には対処が難しいですから、それを紐解くサイエンスってすごいなぁと日々思うわけです。

中でも一番身近で不思議なサイエンスは自分自身の体、人の体の仕組みではないかなと思ったりします。
そんな人の体の不思議をアカデミックな視点から書いた本に出会いました。

 

映画「レナードの朝」の原作者でもあるオリヴァー・サックス

The Man Who Mistook His Wife for a Hat というタイトルを目にしたとき、コメディ小説かな?と思いました。
妻を帽子と間違えるだなんてね?
その本の表紙には、こんな宣伝文句が。

『Bestselling author of Awakenings and Musicophilia
OLIVER SACKS』

Awakeningsで、ピンときました!
1990年に映画化されたAwakenings、邦題『レナードの朝』(1991年)ですね。(古いかな!?)

へぇ!あの映画の原作になった本を書いた人か!

タイトルであるお話も含め、全部で24のストーリーが入った本(The Man Who Mistook His Wife for a Hat and Other Clinical Tales)を購入し、読んでみました。
この著者が医者として担当した患者について書いたノンフィクションものです。

 

医療翻訳に興味のある方におすすめ!

この本は「妻を帽子とまちがえた男」として和訳もされているようですが、表題はトゥレット障害によって引き起こされる視覚認知障害(visual agnosia)を持った人のお話。

この他にも記憶喪失症(amnesia)、失語症(aphasia)、ビタミンB6の過剰摂取による自己受容感覚を失くしてしまった人、左右半分の空間を無視してしまう「半側空間無視」(hemispatial neglect)、自閉症(autism)などについてのお話が入っています。

読んでいて、初めて知るような難しい英単語が目白押し(苦笑)。
医療分野の実務翻訳や、医学系文芸書を翻訳したいと考えている人にはとても参考になる本です。

また専門的な分野に精通していなくても、それぞれの神経疾患が患者の日常生活を通して実例をもって描かれているので素人にも理解しやすく、神経障害のメカニズムもとてもわかりやすく書かれています。
何よりもその疾患を持った人が直面している苦労が描かれているので、「病」についてだけではなく、「病と戦う人たちやその家族たちの日常」を知ることもできます。

一般的な医学書や病気についての解説文とは違い、疾患を持った人が視点、中心となっているところが特徴的です。
読んでいて現実のストーリーに引き込まれるのはもちろんなのですが、著者の人間としての温かさや、医者としての患者との接し方が読者をほっこりさせる。
それは、「病」について書いているのではなくて、「病」に向き合う「人」を描いているからなのではないかと思ったりします。

 

神経学者の親友に聞いてみたところ…

私はこの著者である神経学者を知らなかったのですが、プロフィールを調べてみると意外な接点が判明しました。
彼はNew York Universityで神経学を教えていたようなのですが、私には神経学者の親友がいて、New York Universityで研究をしているのです。
これは何かエピソード・トークが聞けるかも!と早速その友達に連絡しました。

が、彼女が研究所に入った時には、サックス教授はColombia Universityに移ってしまった後だったそう…
残念ながら個人的にサックス教授に会って一緒に仕事をしたり意見交換したりする機会には恵まれなかったとのことでした。

“He’s a very good writer. You might like his other book, Musicophilia.”と、彼女。
Musicophiliaは、The Man Who Mistook His Wife for a Hatで本の宣伝文に書かれていたタイトル。

“abnormal craving for music”という意味らしい。
音楽好きの私にはたまらない!

これはまた読みたい本が一冊増えました!

 

 

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翻訳家のたまご

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日本の大学で英語、ロシア語、ラテン語を学びながらフラワーデザイン学校に通いフラワーデザインを習得。翻訳も通信で勉強するがもの足りずニューヨーク・シティに移住。市内の大学で英語を学び直し、フラワーデザイナーとなる。同時に、翻訳や通訳に従事し、日本語や英語の家庭教師を務める。 翻訳実績:主に音楽関係の記事やCDのライナーノート、ブログ記事、履歴書のプロフィール、ビジネスレターなど通訳実績:取材、現地学校における諸行事、プライベートレッスンの場など 息抜きには土いじり、ルービックキューブ、星や月を眺めながらの一杯。クラシックバレエ用ストレッチとヨガを自己流でアレンジした整体をしたり、一指禅、日記を書くことが日課。好きなスポーツはサッカー、バスケットボール、水泳。ジャンルを問わず日々の生活に音楽は欠かせない。