【翻訳の技術】何通りに訳せる?「one of the+最上級+名詞」

みなさん こんにちは!
英日翻訳講師のMisaです。

先日、ある情報サイトを読んでいてハッとしました。それは毎日新聞校閲センターが運営する「毎日ことば」というサイトで、日本語・漢字・校閲など、ことばの話題を提供しているものです。

わたしがハッとした記事のタイトルは、「『断トツ』は『1位』に決まっています」。

内容は、「『断トツ』は『断然トップ』の略なので、『断トツのトップランナー』は意味がダブります。
また、たまに見る『断トツの最下位』などは、矛盾する表現ということになります」というものです。

 

じゃあ、「断トツの首位」も間違ってるのか!

 

「『断トツの最下位』って、わたし、よく言うてるなぁ」とハッとし、DeNAの三浦監督の顔が頭に浮かんできました(番長、すみません~。今季はめずらしく阪神がめちゃくちゃ強いので浮かれてます~)。
そして、「ということは『断トツの1位』や『断トツの首位』も、重複表現になるんか!」と、阪神の矢野監督の満面の笑顔が頭にちらつきながらも、だんだん不安になってきました。

「もしかしたら翻訳においても、『断トツの』+『最上級表現』を使っているのでは……」とこわくなってきたんです。

 

そして、この『断トツ』という表現をさらに調べると、語義は「2位以下とは大きな差をつけて首位にある状態をいう俗語」。表記は「断トツ」が正しく(←「断然トップ」の略なので)、「断突」としないように注意しましょう、とのこと。
そして、正しい使用例として「断トツの人気」「断トツの成績」が挙げられ、間違った使用例として「断トツ1位の人気」「断トツの一番」「断トツの首位」が挙げられています。

こういう間違った使い方をされるようになった理由は、『断トツ』という言葉自体が、時代の流れとともに「ぶっちぎりの、大差で」という意味にとらえられるようになったのでは、とのことでした。

恥ずかしながらわたしは、『断トツ』の「トツ」が「トップ」から来ているとは思いもしませんでした。
あらためて考えてみると、「突出」の「突」から来ているようにおぼろげに思っていたような気がします。

「じゃあなぜ、『断突』とは書かずに『断トツ』って書いてたんや?」と自分にツッコミを入れました~。おそらくパソコンの〝変換機能さま〟のおかげでしょう!

 

英文によく登場! 『one of the+最上級+名詞』

 

そんなことを考えていると、どこからともなく、”one of the best ways”とか”one of the most popular sports”とかいう表現が頭に浮かんできました。
おそらく〝最上級表現〟つながりだからかと思います。

英語を日本語に翻訳した経験がある方ならきっと、この『one of the+最上級+名詞』 の表現をどう訳そうかと悩んだことがおありでしょう。
もちろん「最も~な・・・のひとつ(ひとり)」とそのまま訳してぴたりとくる場合もありますが、多くの場合、日本語表現を工夫した方が自然な文章になると思います。

で、その工夫のしかたなのですが……。
わたしは、翻訳を学習しはじめたころは「きわめて」ばっかり使っていました(苦笑)。
それこそ、「きわめて」さまとお呼びしなくてはならないぐらい!

たとえば、one of the most important lessonsなら、「きわめて重要な教訓」とし、one of the most excellent researchersなら、「きわめて優れた研究者」とするわけです。

でももちろん、「きわめて」さまには頼れないケースも出てきました。
one of the most beautiful womenを「きわめて美しい女性」としたり、one of the best singers「きわめて上手い歌手」とすると、いまいちしっくりこない感じがしました。

そこで頭をひねり、「有数の」や「指折りの」「屈指の」という表現を使えばしっくりくることに気づき、持ち駒が少しだけ増えました。

それから学習を重ねて、この『one of the+最上級+名詞』の表現の和訳に何度も出くわすうちに、「うまい!」と思う訳をメモするようになり、持ち駒として使えるように練習したりもしています。

日本語って、ほんとに表現が豊かですが、使い方や組み合わせが難しいですよね。

間違った使い方をしていないか、不自然な組み合わせになっていないかなど常に気をつけ、国語辞書などで確認するとともに、冒頭でご紹介した毎日新聞のサイトなど、言葉に関する情報を常にキャッチしておこうとあらためて感じています。

 

 


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ABOUTこの記事をかいた人

兵庫県出身。大阪女学院短期大学英語科、Gwinnett Technical Institute Travel Management学科卒業。電機会社勤務、英語塾経営・運営を経て、翻訳業に従事。現在、児童英語講師と翻訳通信講座添削トレーナーも務める。 翻訳実績(和訳):ノンフィクション(人文系)、コミック(英文学対訳シリーズ)、雑誌(クラフト系)、映画関連資料(公式サイト、劇場用パンフレット、予告編、特典映像、プレスリリースなど) 『趣味は洋画と洋楽(〝あの〟映画を観てからQueenに夢中!)鑑賞、阪神タイガースの応援(田淵・掛布時代からのファン! わっ、古ぃ~)。日課は20分程度のウォーキングとストレッチで、運動不足解消のため両手両足を大きく振って歩くので、すれちがう人から「お! がんばっとるな!」と声をかけてもらっています(笑)。そして夜はお酒のアテづくりと「家呑み」。毎晩8時以降は居酒屋の女将に変身します!』