タンポポ通信2014年8月号 4.Brian’s コラム

冠詞の特徴を知って英語力アップ

皆さんこんにちは! Brian と申します。

私は普段主に英会話学校で英語の授業を担当しています。来日して約10 年が経ちますが、英語の授業を展開する上で日本の学習者の皆さんが陥るミスで私が最も頻繁に耳にするのは「冠詞」の間違いです。
A, an, the とたった3 種類しかない冠詞。
しかしこの冠詞はただ名詞につけるだけの単語ではありません。冠詞を英語の名詞の前につけることで、その名詞が「聞き手や読み手にとってどのような存在なのか」を明らかにするという大きな役割を果たしているのです。
「冠詞ぐらい間違えてもどうってことないでしょ…」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。事実、日本で英語を教える仕事をしているネイティブスピーカーは、日本人にとって冠詞の概念を理解することが難しいことを理解していますし、実際に日本人の方が冠詞の間違いをしたとしても、頭の中で自動的に修正をしたり、想像したりして話者の意図する事を理解出来る場合もあります。しかし、この修正作業がうまくいかない場合ももちろん存在します。
私が経験した会話をご紹介しましょう。来日して間もない頃、友達と旅行に出かけたのですが、その旅行ではバスで山道を走ることになっていました。バスに乗る直前私とその友人はこんな会話をしました。

日本人の友達 : Oh, I hate buses.
Brian : How come? You okay?
日本人の友達 : It’s just… I always get motion sickness when I ride the bus.
Brian : Oh, I’m sorry to hear that! If that’s the case, where can we sit to help you take your mind off of it?
日本人の友達 : ….Hmmm…….Let’s sit in front of the bus……..
Brian : ……………!!!

 

この会話は上記の「修正作業がうまくいかない冠詞の間違い」を表す良い例だと思います。ではこの会話の意味をチェックしながら、文中にある冠詞の間違いをチェックしてみましょう。

 

日本人の友達 : Oh, I hate buses. ( あぁ~バス嫌だな…)
Brian : How come? You okay?  ( なんで?大丈夫? )
日本人の友達 : It’s just… I always get motion sickness when I ride the bus.
( うん…バスに乗るといつも乗り物酔いするんだ。)
Brian : Oh, I’m sorry to hear that! If that’s the case, where can we sit to help you take your mind off of it?
( それは大変だね!じゃぁさ、どこに座れば少しは気が楽になる? )
日本人の友達 : …. Hmmm…….Let’s sit in front of the bus……. (…う~ん…じゃあバスの前に座ろう……)
Brian : ……………!!! ( 驚愕 )

 

和訳を見るだけではこの会話の大きな間違いにお気づきにならないかもしれません。
冠詞のナビブックの番外ルール5 にも掲載されていますが、ものの位置を表すために前置詞+場所を表すキーワードを用いる場合、通常場所を表すキーワードには定冠詞the が必要です。例えば「~の右側に」ならon the right。「~の左側に」ならon the left。「~の後ろに」ならin the back と表すことができます。同様に会話に登場した「~の前に」にもthe が必要でin the front と表記しなければなりません。

一見するとこのようにthe をつけ忘れても大したことないのでは?と思われるかもしれません。しかしこの間違いには大きな落とし穴があります。それは「front」という単語にはright やleft などの単語とは違って2 つの異なる意味があるからです。
上記の通り、ものの位置情報として「~の前側/~の前方」と表す場合は定冠詞the が必要です。ですから「バスの前( 前方) に座ろう!」は「Let’s sit in the front of the bus!」と表すことができます。

では上の会話のように「the」をつけ忘れるとどうなってしまうのでしょうか?
上で挙げた「~の右側に(on the right)」や「~の左側に(on the left)」などの表現においては仮に間違って定冠詞をつけ忘れたとしても、それを聞いたネイティブスピーカーはおそらく頭の中で意味が推測できると思います。なぜなら上記の表現は他に紛らわしい関連表現がないからです。
しかし、「front」の場合は頭の中での自動修正が難しくなります。なぜなら「front」はthe をつける場合と、つかない場合とで全く異なる意味を持つからです。前述の通りthe をつけると「~の前側に/前方に」という意味【図①参照】になります。一方でthe をつけない場合、「~のすぐ前」という意味【図②参照】になります。

つまりそれぞれのケースを上記の会話に当てはめてみると…

この会話では上記の文章が正解です。
一方で、会話中にあった間違えのようにthe をつけ忘れると、ネイティブスピーカーの頭の中では以下のようなイメージが出来上がってしまいます。

この文章は実は文法的に間違いではないのですが、上記の説明の通り「バスの前方」ではなく「バスの真正面」という意味になってしまいます。この発言を聞いたネイティブスピーカーは「車酔いをすることでそこまで思いつめていたのか…」と考えてしまいかねません。

どうでしょう?冠詞一つで全然意味が異なる文が出来上がることが分かっていただけたと思います!
前述の通り通常仮に間違ってthe を抜かしてしまったとしても頭の中で自動修正は可能だと思いますが、今ご紹介した例のように自動修正ができずに全く違う意味になってしまう場合もありますので注意が必要です!少しずつ冠詞について振り返ってみてください!

 

– Brian

 

 

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