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翻訳家の一日

近所の視線・家族の視線

by Roberto

翻訳家として暮らす上での意外な障害(というと大げさですけど)の1つは「近所の視線・家族の視線」です。

働いている人は、「職場で働く人」と「自宅で働く人」の2つに大きく分けることができると思います。フリーランスの翻訳者は、多くが「自宅で働く人」に分類されると思いますが、翻訳者暮らしの経験がけっこう長くなった私は、自宅で働く人の生活が気にいっています。

自分である程度自由に1日の時間をどう使うか決められることは、とても大きな魅力ですね。息子の学校の送迎(イタリアでは保護者の義務です)やオンラインミーティング、通訳の仕事などが入っている時間以外は、どんな風に一日を過ごすか自分が好きなように決められます。

そんな生活ですが、もちろん完璧に良いわけではありません。

 

日本では近所の視線!

日本に住んでいた頃は、会社に勤めていたこともありますが、翻訳者・通訳者としてフリーで仕事をした時期もあります。

フリーランスの時期は、昼間に散歩をしたり、近くに買い物に行ったりすることができました。仕事がうまく進まない時は、気分を変えるために犬を連れて近所をぐるぐる散歩したり、スーパーに行ってお菓子を買ったり。頭の中で「どの表現が一番合うかな」と考えている時もあったので、ボーとした顔をしていたかもしれません。

そうすると、近所の目がちょっと痛いですね。「あの外国人はしょっちゅう昼間から犬を連れてぶらぶらしている」という視線が時々刺さりました。でも、私の犬は大型犬で見た目が怖いから(実際は甘えん坊の犬です)、誰も話しかけてこないんですね。(外国人という時点で、話しかけてくる人も少ないですけど。バスに乗ると私の隣は基本的に空いていました)

しかも、妻も在宅で働いていたので、ご近所の人たちには「怖い犬を連れた謎の家族」として認識されていたかもしれません。まだ息子が生まれる前で、妻と私と飼い犬の3人暮らしだった頃の話です。

この数年は新型コロナウイルスの影響で「在宅勤務」という考えが普通になりましたが、私が日本に住んでいた時はまだまだでしたね。

まぁ、だからと言って、近所の人は挨拶すると感じ良かったし、生活には全く影響がありませんでしたから、そんなたいした障害ではありませんけれど、「大の大人の男が」という視線はけっこう痛いです。

 

家族の視線

さて、いま私が住んでいるイタリアではどうでしょう。イタリアでは、大人の男の人が昼間に散歩をしていても、特にジロジロ見られたりしません。息子の学校への送り迎えにお父さんが来ている家も多いです。息子のクラスでは、3分の1くらいはお父さんが迎えに来ます。自営業の人や家族経営の仕事をしている家庭が比較的多いですからね。

この国での問題は、家族!「ちょっと手伝って、時間あるでしょ」という家族の悪気のない(だからとても困る)一言です!

私の祖母や父などは昔ながらの考え方をする人たちだから、コンピュータとインターネットを使って働く姿は「忙しくない」と見えるようです。むしろ遊んでいる感覚??締め切りがたくさんあって、すごく忙しく働いているのに、自宅のリビングでPCに向かっていると、「家にいるんだから暇だろう」と認識するみたい。

何か頼まれたりして、「いま仕事しているから忙しい」と断ると、「えぇぇ...」という反応です。疲れますね。それでも、説明するとその場では理解してくれますが、毎回毎回同じことの繰り返しで、言われるたびに「忙しいからできない」と説得しなくてはいけません。

今日は翻訳者の一日の意外な「プチ問題」を告白してみました。これから翻訳者を目指す皆さんは、仕事を始めたら、家族や知り合いに「家にいてもすごく忙しく働いているんです。ぼんやりしているように見えても、とても深く考えごとをしていますよ」と念のために大アピールをしておきましょう。

 

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