英日翻訳家デビュー講座Lite「Rachel and Leah」

Story

この本のあらすじ

日本の旧家に嫁いだレイチェル。憧れの日本には自分が知らない負の側面が多々あったことを、30年の結婚生活で実感する。自分が愛する日本と嫌悪する日本は表裏一体。丸ごと受け入れるべく奮闘する一方で、日本社会に順応する過程で自分らしさを犠牲にしてきたのでは?という疑念が頭をもたげる。

子どもが独立し、夫が定年を迎え、嫁姑の確執も過去のものとなった今、レイチェルはどんな未来を選択していくのか?

全編がレイチェルのモノローグとナレーションだけで構成されているユニークな作品。

タイトルの『ラケルとレア』は、聖書に登場する姉妹。本編に、レイチェルが自分をラケル(英語読みはレイチェル)に重ね合わせて考える場面が登場する。

Appeal

この本の楽しみ方・魅力

何か事件が起こるわけでも、話に進展があるわけでもなく、全編がレイチェルの内省とそれを補足するナレーションで成り立っている作品なので、共感したり反発したりしながら、レイチェルの気持ちに寄り添って読み進めることになるでしょう。

翻訳に興味がある方なら、「自分なら、こう訳す」というオリジナルの訳文を書いてみてはいかがでしょうか。

キャラクター設定のしかたや、感情の起伏や機微をどんな風に表現するかには、無限にバリエーションがあると思います。拙訳を添削していただくのも良いかもしれません。

ブックレビュー

ブックレビュー

人生の節目で自らのアイデンティティを模索する主人公。

日本の旧家に嫁いだ外国人女性と聞くと、特殊なケースと思われがちですが、テーマは普遍的なものだと思います。誰しも文化や習慣の異なる環境に身を置く機会や経験はあるはず。順応するのが是か非か、自分のスタンスをどう保つか、といった葛藤は、国際結婚に限った悩みではないでしょう。

レイチェルと同じように中年の危機を感じている人、今の社会に生きづらさを覚えている人、人間関係を見つめ直してみたい人、あるいは何の悩みもない人でも、レイチェルの心の内をのぞいてみることで、何かの気づきがあるかもしれません。

この本のもう一つの楽しみ方

フルーツフルイングリッシュの英日翻訳家デビュー講座Liteでは英語の短編をテキストに、受講者様それぞれが作品をまるまる一人で翻訳します。二回の添削を受け、仕上げた翻訳作品のなかから公式アワード金賞を受賞すると、英日対訳本が発売されます。

対訳本

この対訳本は見開きで左ページが英語の原書、右ページが日本語の翻訳作品となっていますので、原書をご自身で翻訳したものと対訳本の和訳とを対比してみるのも良いですし、英文読解のトレーニングに和訳を活用することもできます。

こちらの対訳本には、特典として英文読解力向上のための手引書がついてきます。手引書には原書のスタイルに沿った読解のコツとワークシート、Glossary(語録集)などが載っています。あなたなりの英語学習にぜひお役立てください。

手引書

購入者特典

英語の表現力や文章力をつけたい人必見の、『描写表現の距離感や目線を操る 時制という魔法を制する法則』が学べる手引書付きです。

時制は「いつ起きたか」を表すだけのものだと思っていませんか?

実は、時制が表す距離感を上手に操ることで、描写する世界を読者にどう感じさせるかをコントロールすることができます。手引書ではこの作品で著者がそのスキルを魔法のように操っている例をあげ、解説していきます。

『描写表現の距離感や目線を操る 時制という魔法を制する法則』のナビゲートでその技術を盗めば、これから英語の書籍を読むときに著者の工夫に気がつくようになり、読書が一層楽しくなることでしょう。そして、あなたの英作文にもきっと役立つでしょう。

 

訳者紹介

訳者

柳川春日

東京都港区在住。会社員、高校教員、通訳ガイドなどを経て、長年憧れていた翻訳の世界へ。現在携わっている字幕翻訳、実務(金融・IT)翻訳に加え、今後は出版翻訳にも精力的に取り組んでいきたいと、楽しみながら勉強中。

書籍情報

タイトル
Rachel and Leah(対訳版)
邦題
ラケルとレア
著者
Rebecca Otowa
訳者
柳川春日
ジャンル
フィクション
ページ数
36ページ
ISBN
978-4-9912118-3-6 C0097
価格
定価990円<税込>