あらすじ

ダーシー・ロックは14歳、スポーツが得意で聡明な少女。父の家系がイギリス諜報員、母はアメリカ諜報員であることから、国際的な麻薬組織とアメリカ大統領から身を隠さなければならない事態に追い込まれ、母国で静かに暮らすことに。

その潜伏先で国際的なクーデターに巻き込まれ、人質の身となってしまう。しかも、かつて宿敵として戦ったヒューゴとの再会も。二人で力を合わせた命がけの脱出作戦が始まる...!

登場人物紹介

ダーシー・ロック

14歳のスポーツが得意な女の子。両親ともにスパイ。

ヒューゴ

17歳。シリーズ第一弾ではケニア大統領への反乱計画に父親と加わり、ダーシーの命を狙った人物。イギリス諜報員として訓練中にダーシーと再会、クーデターの人質となる。

パシュク将軍

タズベキスタンのロシアからの独立を謀り、クーデターの指揮をとる人物。

バブーシュカ・マリア

クーデター仕掛け役の一員であるペティアの祖母。タズベキスタンの肝っ玉かあさん。

この本の楽しみ方・魅力

Deadlock の魅力をたくさん知り尽くした共同翻訳者のみなさんに、
この本の楽しみ方を教えてもらいました!

  • 物語の見所はやはり主人公ダーシーの賢さだろう。人並みはずれた身体能力、大人顔負けの知恵と機転。読者なら誰しもそんな彼女の強さに憧れるだろう。しかし私は今回の作品では敢えて彼女の弱さが好きになった。悲しみ、恐怖、心の変化、そして甘酸っぱい気持ち。描写は少ないが、普通の女の子のダーシーにも気づいてあげたい。

    Y

  • 物語の展開は派手な娯楽映画の雰囲気で最初から最後までハラハラし通し。でも、同時に人物描写が細やかでヒューマンドラマ的な深みも堪能できます。主人公ダーシーが、宿怨の敵ヒューゴや、恋人ジェイクらと交わす会話は、心のひだがよく表れて読みごたえがあります。個性のにじみ出たバイプレーヤーが多いのも魅力。それぞれにファンクラブができてもおかしくないほどです。

    那須 美加

  • 英語学習者なら一度は夢みるものの、なかなか難しい学習法として、洋書の精読が挙げられるのではないでしょうか。洋書のストーリーを純粋に楽しみながら、英語教材としても使いたい。が、英文解釈が合っているのかわからず途中で挫折なんてことありませんか。この本は、日本語訳と見比べながら、多読や精読をご自身のペースでお楽しみいただけます。話の展開を追いながら、良き参考書としても使い込んでみてください。

    川口 恭子

  • リズム良く物語が展開して、癖の強いキャラクターが多く登場。読んでいる間に、いつの間にか物語に夢中になっている自分に気がつくはずです。この本は「ダーシー・ロック」シリーズ第三弾。シリーズ第一弾から比べて、ダーシーがどんどん大人になっている様子にも大注目です。

    KKYY

  • 思考停止は死を意味する。気が付けば読者は颯爽と疾走する少女のポニーテールの後を追いかけている。彼女は自問する。考えろ!考えろ!考えろ!!そして自答する。動け!動け!動け!とにかく大胆不敵に突き進むからリスクもダメージも巨大、しかし、ほんのかすかな希望の光さえ探知追跡する能力も偉大。死を覚悟の危険なバトルを幾度となく切り抜けた先にあるものは?さあ、少女と見つけに行きましょう。

    金子 ルミ子

  • 国連事務総長カルメン・ロペスの言動に注目です。華やかで気遣いができて、困難な状況でも毅然とした態度で存在感があります。ダーシーを包み込むような優しさにほっとします。ダーシーと同級生ジェイクの友情は恋愛感情も芽生えたようで応援したくなります。狂気の将軍からダーシーを救ったロシアのスパイ、ペティアの複雑な立場にも注目です。ペティアの祖母パブーシュカが近隣の老人集団を引き連れ、体当たりする活躍には驚かされます。世界地図を広げ、作品に登場する架空の国タズベキスタンは中央アジアのこのあたりかなと想像しながら読み進めると、新たな発見があるかもしれません。

    H.N.

  • 次々と起こる絶体絶命のピンチを切り抜けるダーシーの活躍はもちろん、家族の助け合いから国際情勢まで読みどころが詰まったストーリーは読み始めたら止まらない面白さ。どんなに困難な状況でも持ち前の機転と勇気、やさしさと正義感で立ち向かうダーシーは、かっこよくて痛快そのもの。元気になれる一冊です。

    今城 一美

ブックレビュー

祖国イギリスの片田舎で過ごしていたダーシーにまたも追っ手が迫る。避難した矢先、そこで開かれていた国連和平会議で架空の国タズベキスタンの軍人がクーデターを企てる。人質たちを助け、タズベキスタンの核攻撃を防がなければ―。しかし一緒に戦うパートナーは、なんと以前ダーシーを殺そうとした宿敵だった。そんな相手を信用できるの?またもや絶体絶命のピンチをダーシーはどう切り抜ける?イギリスで数々の賞を受賞した小説家ジュリア・ゴールディングのダーシー・ロック、シリーズ第三弾!!

今城 一美 さん
前作で意図せず米国大統領の弱みを握ってしまい、大統領から執拗に追われる主人公のダーシー。英国特殊部隊(SAS)隊員スティンゴの両親宅に身を寄せ、イギリス南部の片田舎でやっと普通の学校生活が送れると安心した矢先、またもや追手が迫る。英国秘密情報部(SIS)の訓練施設セントヘレンズハウスに緊急避難するも、前々作でダーシーを殺そうとした宿敵ヒューゴと否応なしに再会する。セントへレンズでは、ロシアとタズベキスタンの和平会議が開催されるが、晩餐会の場でタズベキスタンのパシュク将軍が突然軍事政権の樹立を宣言し全員を人質にする。ダーシーとヒューゴは海水が満ちる地下牢に落とされてしまった。次々と襲い掛かる危機からダーシーは生還できるのか。ハラハラしながらダーシーの無事を祈り仲間が助けに来ることを期待して、読み始めたらやめられない。旧ソ連から独立した中央アジアの国々の悠久の歴史や複雑な社会情勢にも目をむけたくなる。冒険小説のジャンルを超えて大人でも十分に楽しめ、考えさせられる作品だ。
H.N. さん
主人公のDarcieは、たぐいまれな勇気と能力を備えたダイハードなポニーテールガール。この本を手に取ってページをめくったが最後、彼女の一挙手一投足から眼が離せなくなること間違いなし。次々と立ちはだかる冷酷な敵と過酷な試練に立ち向かう強靭でしなやかな精神と肉体。ありとあらゆる困難の足かせに溺死させられることなく深海の闇から脱出するキュートガールの光り輝く戦略能力。「逃げ道はあるわよ。とっても狭いけどね。」
金子 ルミ子 さん
構想設定、人物像、背景などの表現に引き込まれます。スパイ家族の子供として生まれた主人公、特殊部隊隊員スティンゴの両親が元ヒッピー、ペティアとパシュク及びペティアの家族とか地味なローザ・ミラーや華やかに活動するカルメン・ロペス等々が面白い。そしてそれにもまして、主人公ダーシーは和平会議の騒動に居合わせるが、造反者の準備をキャッチする鋭い感覚や造反者・制御者の思い、策略などそれぞれの展開が想像を脱します。ハラハラドキドキ楽しく読めると思います。兎に角、ダーシーの動きに引き込まれて読んでしまうことでしょう。
遠山 聖子 さん

悩んでも、困難にぶつかっても、前に進んでいくダーシーの頼もしさがすごく魅力的。読んでいるとこちらまで勇気がもらえます。一癖も二癖もあるキャラクターが続々と登場して、ストーリーもスリルが満点。最初から最後まで目が離せない物語です。

KKYY さん

まるで映画を観ているかのように情景が浮かんでくる、Julia Goldingさんの世界に魅了されます。勇気ある少女ダーシーと一緒に冒険にでかけませんか。

川口 恭子 さん

14歳の女の子、ダーシー・ロックが諜報員(スパイ)として大活躍するシリーズの第3弾です。今回は以前に戦った相手と同胞になることになり…。前作でやっとの思いで生還したにも拘わらず、いまだアメリカから追われる身であることには変わらないダーシー。朋友スティンゴの実家にかくまってもらうことになりましたが、平和な日々も長く続きません。新たに避難した場所はタズベキスタンとロシアの和平会議の真っ最中で、クーデターに巻き込まれてまたもや人質となってしまいます。しかも核ミサイルの発射の計画を知ってしまったダーシーが、それを阻止すべくとった行動は…。次から次へと巻き起こる困難に勇敢に立ち向かっていく姿に最後まで目が離せません。

沢木 ちひろ さん

本場?イギリスの諜報活動がどんなものか知りたい人には、うってつけの本ですね。主人公ダーシーが隠れた英国の古城で国連の和平会議が行われることになり、美人で正義感に溢れた国連事務総長や仲介者の英国外務大臣、当事国の代表たちが集合する。その席であり得ないはずのテロが起こり、ダーシーは何度も命の危機にさらされながらも諜報部隊MI6の一員として活躍するがとうとう捕まってしまう。死体となったダーシーが、人質として中央アジアの国に連れて行かれた事務総長やボーイフレンドをどうやって救うのか? たくさんのどんでん返しとダーシーの勇気、そして諜報部の救出活動の様子など読みどころがいっぱいで、ページをめくる手が止まりません。

森山 由紀 さん

普通の暮らしがしたい、普通の中学生ダーシー・ロックのシリーズ第3弾。前作でアメリカ大統領に追われる身となったダーシーは、今度はロシアと隣国の政争に巻き込まれます。大人たちの思惑に振り回されて絶対絶命に陥るダーシー。果たしてデッドロックを打開できるのか……。ティーンエイジャーの揺れる心を丁寧に描きながら、物語はダイナミックに展開し最後の最後まで目が離せません。

那須 美加 さん

著者紹介

Julia Goldingジュリア・ゴールディング

イギリスの作家。ロンドン生まれ。

ケンブリッジ大学に学んだ後、英国外務省に入り、ポーランドに着任。 外務省を辞めてからはオックスフォード大学でイギリスロマン派文学を学ぶ。 その後、オクスファム※ロビイストとして、紛争地帯に住む市民への影響を減らすべく努める。三人の子の母親でもあるジュリアは現在オックスフォード在住。

彼女の最初の本となる"The Diamond of Drury Lane"はネスレ児童文学賞、ウォーターストーンズ児童文学賞を受賞し、コスタ児童文学賞にもノミネートされた。

※オクスファム - 貧困と不正を根絶するための持続的な支援・活動を90カ国以上で展開している国際協力団体

著者 Julia Golding から日本の皆さんへメッセージ

Deadlock

Do you start with the character or plot? Do you know what is going to happen at the end before you start writing? Do you plan meticulously or just write what you feel at the moment?

Versions of all these questions are what authors are often asked so I thought you might like to hear some of my answers. Other writers will of course have developed their own approaches that work for them, but I have a few habits that work for me so they may suit you too if ever you sit down to write fiction.

I tend to start with character. I find that decides the plot in most cases. The question ‘What would Darcie do in this situation?’ is the door I walk through to the next scene. For example, the beginning of Deadlock starts with her staying with Stingo’s parents. What kind of guest would she make? How would she fit in at her local school having come from the high-energy world of her recent adventures? What would her feelings be towards her own parents now? That is the opening set of questions that set up where the plot goes as I explore all of these to set the scene.

Naturally, I had an idea of what the main dilemma would be ? peace talks that go wrong ? but there are lots of ways of getting to that crisis. What you don’t want in a spy thriller though is areas of slack water where you seem to drift. Darcie has to be driven there, shocked out of what is her normality ? so I came up with a reason for that which fits with the world she is in.

And did I know how it would end? Not exactly. I have what you call a sense of the ending before I start, but the exact way that takes shape is left for the first draft and when I reach that section. I have once written a book ? an historical novel called Wolf Cry - where I knew one of the main characters would have to die as it was a Viking Saga and that is the right ending for that kind of story. I did not know who I was going to pick though, and that had to be worked out as the story threads came together. The answer was shocking ? to me and probably to the reader. I think J K Rowling has described something similar when she was deciding who would die in the last battle of Hogwarts. She mentions having reprieved one character whom she had been planning to kill off.

Don’t worry as you start Deadlock ? I use the ultimate authorial power of death very sparingly!

As for the answer to the planning question, I tend to do a lot of background reading first. In this book, I read about Central Asia, using travel writing as my main source. I let all these tales mix together so I have a background in which to place my characters. I also drew on some personal travel memories that seemed relevant. I then let some of the details of new characters emerge, such as her allies among the Grandmothers. Too much planning can kill off inspiration so I like to leave freedom to take new paths I didn’t anticipate.

Writing is like a walking journey, a question of putting one foot in front of another and keep going until you arrive. Don’t let the distance put you off. The journey that takes longest is the one never started. Perhaps you might now have a go at making your own?

Julia

翻訳者について

Deadlock日本語訳版は、フルーツフルイングリッシュ「翻訳本出版プロジェクト」に参加された29名の共同翻訳となっています。

原書を何度も読んで理解するところからスタートし、たくさんのステップを経て生み出された、皆さまの努力が詰まった一冊です。

翻訳版イラスト:石川 武 / Prism Art Studio
  • 井神 充洋
  • 今城 一美
  • 上原 真季子
  • 大下 由美
  • 岡本 明子
  • 小川 茂樹
  • 葛西 優子
  • 金子 ルミ子
  • 川口 恭子
  • 川口 佳美
  • 喜多 千穂
  • 北垣 かおる
  • 北川 愛
  • 小林 真里恵
  • 櫻葉汀 美穂
  • 沢木 ちひろ
  • 高田 道子
  • 遠山 聖子
  • 富田 康弘
  • 中 英一
  • 長坂 寛子
  • 中村 成美
  • 那須 美加
  • 蕗澤 恵美
  • 二木 明夫
  • 森山 由紀
  • 山田 亜寿実
  • 山本 静香
  • 横山 かよ

※五十音順

書籍情報

タイトル
Deadlock(日本語版)
邦題
ダーシー・ロックの冒険 〜命がけの脱出作戦〜
著者
Julia Golding
ジャンル
ヤングアダルト / スパイ・アクション
出版年月日
2021 / 01 / 10
ページ数
375ページ
サイズ
菊判(150mm x 220mm)
ISBN
978-4-9911441-4-1 C0097