英語力アップのヒント
フルーツフルイングリッシュは「英語を書く」コンセプトに特化したオンライン学習サイトです。英語を「書く練習」と「添削指導」を通じて「英語力をアップ」させます。
あなたが効果的に英語力をアップできる理由
私たちの強みは、添削結果として、マンツーマンの添削指導内容が膨大なデータとして残っていることです。このデータを分析することで、日本人が共通して苦手とする改善テーマが明確になっています。あなたの英語力を改善するために何を学ぶべきかご紹介いたします。
01:文法編
日本人が最も間違えている英文法テーマは?
私たちの過去10年以上にもおよぶ添削指導実績で日本人のもっとも間違っている文法テーマは「冠詞」であることがわかりました。
冠詞は、日本語にない概念のため敬遠したり、そもそもの重要性を認識されていない英語上級者の方も多く、たった2つの英単語aとtheを正確に使い分けるだけで、あなたの英語の印象を大幅に改善することができるもっとも改善優先度の高いテーマです。
ここでは当社講師のKayo&Brian先生に登場いただき、冠詞の大切さについて理解を深めていきましょう。
私たちの英作文指導を使ってもらうと冠詞の指摘は相当されるのですが、これを読んでいただくと使い間違えるとこんなにインパクトがあるものなのか!?と理解頂けれると思います。大切さや重要度を知らないと、それを大切にしようとは思えないものです。冠詞は英語学習においてそんなテーマの1つであることは間違いありません。
日本人の英語にほとほと苦労する理由・・・あるネイティブ講師の独白
日本で英語を教え始めてから早10年ほど経ちます。教師として私が非常に難しいと感じている問題の一つに「冠詞の間違い」があります。
もう少し具体的に言うと、「日本人の学習者の皆さんが冠詞のミスをすると、英語を母国語として話すネイティブスピーカーにとってどんな影響があるのか」ということを理解していただく為にいかにうまく説明するか常に頭を悩ませています。
通常私たち英語教師は、学習者の皆さんにとって英語は母国語でない事を承知していますので、仮に冠詞の間違いが会話中にあったとしても、会話を聞きながら「ここではaが抜けてるな。」とか「きっとtheのつもりだろう…」といった具合に「頭で」自動的に間違いを修正しています。小さな冠詞の間違いがあったとしても、会話を成立させ、情報を伝える上では差し支えないこともあります。
しかし、この自動的に「頭で」行う修正作業が一筋縄ではいかない場合ももちろん存在します。このような状況では「どういう意味だろう…」とほとほと途方に暮れることになります。状況によっては冠詞の間違えが原因で大きな誤解を生んでしまうこともあります。
冠詞の間違った使用法が原因で、話者が意図する意味とは全く異なるイメージを作り上げてしまい、そのイメージのおかしさに思わず笑いがこらえられず吹き出してしまう事すらあります。ここでは私の日本での生活で経験したエピソードをもとに、冠詞の間違いによって私がどんな影響を受けたのか少しずつご紹介したいと思います。
シェービングクリームの注意書き編
ここではa, anにまつわるエピソードをお話したいと思います。a, anという不定冠詞と聞くと忘れられないエピソードがあります。それはシェービングクリームの説明書です
私は普段頭をスキンヘッドにするのが好きで3日に1回は頭をそるのですが、日本に来日してすぐの頃、お風呂で頭をそろうとシェービングクリームの缶に手を伸ばしました。クリームを出そうとしてふと缶に視線を落とすと、缶に何やら日本語で説明書きが記されています。「ご使用前に缶をよくお振りください。」残念ながらその当時の私は日本語が読めませんでした。しかし親切にもその日本語の下には英語の翻訳文がありました。読んでみると、「Shake a can well」と記載されていました…
この翻訳文を読んで私は思わず吹き出してしまいました。この文を読んで突然「缶」を振りたい衝動に駆られてしまったのです!今手にしているシェービングクリームの缶ではありません。缶づめの缶や、クッキーの缶や、ツナの缶や…なんでもいいので「缶」を振りたい気分になったのです。
なぜか?
それはこの翻訳文がゴールデンルールにのっとっていなかったからです。初めて名詞を読み手に紹介する時、名詞が特定されていない事を明らかにするために「a, an」をつけます。シェービングクリームの缶に書いてあった翻訳文をもう一度見てみましょう。
「Shake a can well.」
この説明書を読んでいる時点で読み手はシェービングクリームを手にしているはずです。つまり、どの缶の話をしているのか読み手にとって特定されているはずなのです。しかし、「a」をつけている事でこの推測は崩れ落ちます。「aがついてるってことは…この缶を振るのではなく、どれでもいいから缶を一つよく振れ!」ってことか…と思ってしまうのです。
日本語の説明文「ご使用前に缶をよくお振りください。」の翻訳文としておそらく適切なのは「Shake Can Well.」です。上記のとおり、読み手はこの説明文を読んでいる時点でシェービングクリームを手にしているはずですので、どの缶の話をしているのか明らかです。ですから「Shake the Can Well.」と記載されていてもおかしくはないのですが、このようなスペースが限定されている説明書きなどでは冠詞を省略する傾向にあります。
こういう背景があるにもかかわらずあえて「Shake a Can Well.」と記載されているということは…「つまり…この缶を振るのではなく、どれでもいいから缶を一つよく振れ!」というメッセージを与えてしまうわけです。
お花見編
他にも日本人の方と英語で会話をする時、「a」が不必要な場にもかかわらず「a」が名詞につけられているのをよく耳にします。会話中にこのような間違いがない事の方が稀なくらいです。不必要な「a」…これのせいで、実はイメージがガラリと変わってしまうんです…。
例えば春に良くある会話の1コマ。
「I’m going to go to see a cherry blossom!」という発言をよく耳にします。
私は日本での生活が長いので「桜を見に行くんです!」とおっしゃりたいのだとは分かります。
しかしこの発言、お分かりの通り不必要な「a」がついています。桜の花は一本の木にも数えられないほど咲いていますので、正しくは「I’m going to go to see cherry blossoms!」が正解です。しかし、「a」をつけてしまうと、「(たった一つだけ咲いている)桜の花を見に行くんです!」という意味になってしまいます。
女優編
不必要な「a」がもっと大きな誤解を招いてしまうこともあります。ちょっと極端な例かもしれませんがご興味があれば先をお読みください。
こんな会話をした事があります。
Student: Last night, I saw ○○(actress name) on TV.
(昨夜テレビで○○(女優名)を見たんだ。)
Brian: Oh, who’s that?
(それ一体誰?)
Student: You don’t know her!? Everyone knows her!
(知らないの!?誰でも知ってる女優さんだよ!)
Brian: No, I’ve never heard of her. Tell me about her.
(聞いたこともないよ。どんな人なの?)
Student: Well…She’s really famous for having a big boob.
(う〜ん…胸が大きいってことで有名なんだ。)
Brian: ……………..(trying very hard not to laugh)
(笑いをこらえるのに必死)
この会話のポイントがわかりましたか?
日本語はそもそも単数/複数の概念に厳しくない言語なので、「胸」という単語をまるで1つ(単数)のように捉えているのかもしれません。英語の「boob(乳房)」という単語について考えてみると、通常人間には2つあります。ですから「胸が大きい人」と表したい場合は必ず複数形にする必要があります。それにもかかわらず「a」を誤ってつけてしまうと……「片方だけ胸が大きい人」または「巨大な一つの乳房を持っている人」というショッキングなイメージを与えてしまいます。
ほんの小さな間違いが大きな意味の違いにつながる
どうですか?たかが冠詞、されど冠詞です。ほんの小さな間違いでもおかしなイメージを読み手/聞き手に与えかねません。これからは冠詞の知識を深めて、あなた自身の英語をより正確にするとともに、身の回りにあふれる「冠詞の間違い」を発見してみてくださいね。